研究課題/領域番号 |
21650051
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70293248)
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研究分担者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40185187)
坪根 正 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50334694)
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キーワード | 運動学習 / 内部モデル / NIRS / 計算論的モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、近赤外線分光法(NIRS)脳計測装置を使用し、ヒトが運動を行った際の"慣れ"や"精度"と、NIRSによって計測される脳内ヘモグロビン濃度変化との関係を明らかにすることである。運動の慣れと脳活動との関係を調べる実験として指タッピング課題を行い、また運動精度については円描画課題を用いて実験を行った。 指タッピングの実験では、4人の被験者がそれぞれ20秒間のタッピング運動を12試行ないしは15試行行い、その間のNIRS信号を測定した。さらに運動中の筋肉活動をEMGによって測定し、サイバーグローブによって測定した指の速度を指タッピング運動の滑らかさを表す指標とした。実験結果から、この滑らかさは全被験者において向上する傾向が見られ、それと同時に脳内酸素化ヘモグロビン濃度は減少傾向を示した。さらにこれら2種類のデータにおける相関を調べた結果、前頭前野付近ならびに運動前野付近のチャンネルでは被験者4人中3人以上の測定結果で正の相関がみられた. 円描画タスクの実験ではスタイラスペンを使用し、被験者前方の机上に示される円をラインに沿ってきれいに描くように指示した。実験では6人の被験者で30秒間の課題を4試行行い、その際のNIRS信号を測定した。また、運動中の筋肉活動をEMGによって測定し、三次元位置計測装置であるOPTOTRAKによってペン先と目標円との差をエラーとして測定した。円描画実験の結果、全被験者においてエラーが減少する傾向を示し、同時に脳内酸素化ヘモグロビン濃度に減少傾向がみられた。さらに、酸素化ヘモグロビン濃度と運動精度について相関を調べたところ、前頭前野付近と一次運動野付近のチャンネルにおいて被験者6人中5人以上の測定結果で正の相関がみられた。 これらの結果は、NIRSを用いることでこれらの運動課題における学習傾向を評価できる可能性を示唆している。
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