本研究は軽便で安定な方法で、骨格筋上の電位を誘導し、円形に統一された形で周波数トポグラムを作成し、その医療・看護学的応用について考察するものである。 プロジェクトの最終年にあたり、軽便に使用可能な表情トポグラフィ、すなわち、より一層軽量化した電極と、普及されている脳波計の利用による、包括的な方法の完成段階を目指した。 これにより、看護学領域に止まらず、教育学や精神医学などの領域においても、応用が可能となった。すなわち、被験者に対し、事前に喜び、驚き、恐れ、嫌悪、怒り、悲しみを抱く場面を調査し、被験者の過去に起きた、強い感情変化をともなう場面を記憶的に再生することで、感情(想起的情動変化)に応じたトポグラムの作成がスムーズに行えるようになった。さらに作為的な表情表出と記憶想起による感情変化の関連を比較検討した。また被験者に対し、運動刺激等による表情トポグラフィの変化を確認し、日常生活上に見られる、感情変化に対応する実証的研究を行った。 本研究の関連として、頸部から後背部にかけて電極装着をおこない、情動変化および運動刺激を行い、筋電位トポグラフィの測定を試みた。本結果によれば、情動変化や運動負荷に伴って、僧帽筋部に変化を生じたことから、表情トポグラフィと類似の手技で、"肩こり"等の病態表現の可能性が開かれ、これらの成果について学会発表を行い、論文発表した。今後の発展として、実証的研究に主眼が移り、各種画像提示による表情・感情変化を行ない、より精度の高い表情トポグラフィの開発を行っていきたい。
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