研究概要 |
本研究課題では,空間思考を中核とする問題解決の高次認知活動を対象とした認知心理実験を行い,そこから得られる実証的事実に立脚し,言語思考に関する認知の計算理論との対比に基づいて空間思考を支える計算理論を構想し,その構成要素を明らかにすることを目標とする 平成22年度は,前年度に実施した空間推論による問題解決過程の認知モデルと視線計測実験の結果をまとめて対外発表を行うとともに,関連研究のサーベイを進めて本課題での提案モデルの位置づけの明確化を行った.具体的には,図的推論国際会議および空間認知国際会議において研究成果発表を行うとともに,日本認知科学会大会においてワークショップを企画し,視覚心理学専門家を招いて視知覚研究の知見と本課題で取り上げている高次推論との接点を巡る討論の機会を持った さらに,オブジェクトベース視知覚および視覚インデックスに関する心理的,脳科学的研究のサーベイを行って,われわれの提案モデルおよび実験結果の位置づけの明確化を行った.高次問題解決における空間思考を言語的思考と対比してとらえたときの特長として(1)表形式の情報表現読み取りにおいては,行あるいは列のような高次オブジェクトとその属性の直接知覚が問題解決に必要な情報統合を知覚レベルで実現すること,(2)視覚インデックスが外部記憶機構として認知的操作過程における作業記憶の負荷を軽減すること,の二点を明らかにした.これらの結果を踏まえてCognitive Science Journalに論文投稿を行った
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