研究概要 |
本研究課題では,空間思考を中核とする問題解決の高次認知活動を対象とした認知心理実験を行い,そこから得られる実証的事実に立脚し,言語思考に関する認知の計算理論との対比に基づいて空間思考を支える計算理論を構想しその構成要素を明らかにすることを目標とした. 平成23年度は,本研究課題の最終年度であったので,これまでの研究成果の論文化を進めるとともに,今後に向けた研究課題の整理を行った.昨年度にCognitive Science誌に投稿した論文では,図を用いた推移性推論課題遂行中の実験参加者の視線計測結果と反応時間に基づいて,外界を利用する推論機構として視覚的注意インデックスを位置づけるモデルを提唱した.査読者からはおおむね好意的な反応が得られたが,従来の図的推論および視覚注意研究の中での本研究の位置づけに関してさまざまなコメントおよび疑問が提示された.それらに対応して論文を改訂するために,関連論文サーベイ,実験データの再整理,議論に今年度の大半の時間を費やした.
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