研究概要 |
研究の目的は,物体の寸法を知覚的に見極める際に,視覚的情報と聴覚的情報がどのように関連し合うのかについて解明することを目的とした。そのたあに,ボールが床に弾む際の画像と音響信号の操作を,なるべく統制の取れた実験手法によって実施すべく,3次元モデルの2次元画像へのレンダリング・ムービーの作成と,ボールが弾んだ際に出す音のインパルス応答の時間軸における伸縮による信号操作の可能性について予備的に調べた。少なくともコンピュータ・ディスプレイ上では音響信号無しでは絶対的な大きさが不明確な刺激に対して,音響信号を組み合わせるとある程度の現実感が増すことが確認きれた。 ボールはテニスボールが地面に跳ねたときの実音をサンプルし,その時間波形を時間軸上で伸縮し,再生することによって聴感上得られる大きさ感を操作することを試みた。縮小方向に変化した場合に狙い通りに「小さい」物体が弾んだように聞こえることは保証された反面,伸張方向に変化した場合には「大きい」物体には聞こえにくいという結果が得られた。これはボールが弾んだ場合に発生するモードが必ずしも単純なものでないためと考えられる。テニスボールを基にして変形する手法以外に,実際により大きなボールであるバスケットボールたどの組み合わせも今後は検討の範囲に入れていきたい。また,少なくとも縮小方向の場合はうまく機能しそうなので,片方向のみに変形を制限した実験手法に切り替えての検討も進あたい。
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