研究概要 |
研究の目的は,物体の寸法を知覚的に見極める際に,視覚的情報と聴覚的情報がどのように関連し合うのかについて解明することを目的とした。そのために,ボールが床に弾む際の画像と音響信号の操作を,なるべく統制の取れた実験手法によって実施すべく,3次元モデルの2次元画像へのレンダリング・ムービーの作成と,ボールが弾んだ際に出す音のインパルス応答の時間軸における伸縮による信号操作の可能性について調べた。大きさの判断は視覚情報と聴覚情報が統合されて行われることが確認された。 ボールはテニスボールが地面に跳ねたときの実音をサンプルし,その時間波形を時間軸上で伸縮し,再生することによって聴感上得られる大きさ感を操作することを試みた。但し,視覚情報としてボールの視角が3段階のものを便用したため,実験参加者の多くは視角条件が3種類しかないことを見破ることができてしまった。このため聴覚情報の影響が本来の場合よりも過小評価されている可能性が示唆される。 次年度は,視覚情報を呈示する奥行きに3段階をさらに加えて,大きさが単に視角だけでは決定できない条件下での実験を実施したい。
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