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2011 年度 実績報告書

寸法知覚に対する視聴覚情報統合の研究:ものの大きさはどこで測るか?

研究課題

研究課題/領域番号 21650060
研究機関京都市立芸術大学

研究代表者

津崎 実  京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (60155356)

キーワード寸法知覚 / 大きさの恒常性 / 視聴覚情報統合 / インパルス応答 / 事象知覚 / マルチ・メディア
研究概要

本研究の目的は,物体の大きさを判断する手がかりとして音がどの程度影響するかを確認するために,視角上は同じ値で与えられるボールが床に落ちて弾む場面にそのボールの共鳴音を付けることによってボールの大きさが異なって知覚されるかどうかについて調べることにあった。
前年度までに,視覚的な手がかり以外に聴覚的な手がかりも大きさ判断の手がかりとして確実に使われることが確認されてきた。ただし,この判断はボールが弾む音を人工的に加工した場合のものであったため,今年度はより実環境に近い刺激条件として楽器の大きさの判断を聴覚的手がかりからどの程度出来るかを調べた。用いたのは,バイオリンとビオラであった。視覚的な手がかりと共に呈示する前に聴覚刺激単独の場合の判断の精度について検討を加えた。弦の違いによる音域の違いを排除するため,共通する音域に限定して調べることによって共鳴周波数の違いに基づく判断のみに焦点を当てた。そのために開放弦の3音だけに限定して実験を実施した。この条件では弦楽専攻生であっても確実に2種の楽器を区別して同定することは不可能であることを示す実験結果が得られた。バイオリンとビオラでは約10%の胴体寸法の違いがあり,その程度であれば共鳴特性の違いに基づく弁別は先行研究の知見からもできても不思議ではないにもかかわらず,実際には困難が伴っていた。その理由として,同じ高さを出す場合の弦の位置が違うことによって胴体の共振の異なるモードが駆動されることにより,胴体寸法の違い以外が音響刺激に混入することがあることが分かった。
ものの大きさは視覚的には視角と距離情報が適切に与えられないと判断はできないのに対し,音信号については空洞の共鳴に限定すれば絶対的な手掛かりとなりうることが示された一方で,実世界では空洞の共鳴だけが提供されることはなく,視角同様に不良問題性が存在することを確認できたことは意義深い。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 母音の持続時間が話者寸法の弁別能力に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      竹島千尋, 津崎実, 入野俊夫
    • 学会等名
      日本音響学会:春季研究発表会
    • 発表場所
      神奈川大,神奈川
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] Discrimination of Speaker Sizes Through Speech Sounds : Dependence on Sound Duration2012

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Takeshima, Minoru Tsuzaki, and Toshio Irino
    • 学会等名
      ARO midwinter research meeting
    • 発表場所
      San Diego, California, USA
    • 年月日
      2012-02-26
  • [学会発表] Effects of the Correlation Between the Fundamental Frequecies and Resonance Scales as a Cue for the Auditory Stream Segregation2012

    • 著者名/発表者名
      Minoru Tsuzaki, Toshio Irino, Chihiro Takeshima, Toshie Matsui
    • 学会等名
      ARO midwinter research meeting
    • 発表場所
      San Diego, California, USA
    • 年月日
      2012-02-26
  • [学会発表] 寸法知覚を中心とした聴覚情景分析-物理世界と心理世界をつなぐ聴覚2011

    • 著者名/発表者名
      津崎実, 入野俊夫, 竹島千尋, 松井淑恵
    • 学会等名
      日本音響学会2011年秋季研究発表会
    • 発表場所
      島根大学,島根(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [図書] 聴覚モデル2011

    • 著者名/発表者名
      森周司, 香田徹(編), 香田徹, 日比野浩, 任書晃, 倉智嘉久, 入野俊夫, 鵜木祐史, 鈴木陽一, 牧勝弘, 津崎実,(共著)
    • 総ページ数
      233
    • 出版者
      コロナ社

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公開日: 2013-06-26  

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