研究概要 |
昨年度までの研究成果を踏まえ、本年度は下記の成果を得ることができた。 1.これまでに得られたカーネル型推定量の高次漸近理論を利用して、ノンパラメトリック回帰における高精度の推測法を構成することができた。この新しい推測法を使えば、データの持つ情報を十分生かし、取り組んでいる問題を高精度で解決することが可能となる。2.パラメトリックなモデルを仮定することなく、提案されている分布関数や確率密度関数のカーネル型推定量の漸近的な性質を明らかにして、その性質を利用した新しい推測法の構成に成功した。3.比の統計量についてのジャックナイフ推定量の性質を明らかにし、分子・分母のそれぞれにジャックナイフ推定量を代入するものと、全体の統計量に基づくジャックナイフ推定量の同値性を理論的に明らかにした。4.複雑な統計量の各要素にブートストラップ法を適応するものと、全体の統計量について適用するものが理論的に同値であることを示した。5.複雑な統計量をもとに統計的リサンプリング法を使って未知の母数を推定するときには、個々の母数の推定量を使うことなく、全体の統計量をもとにした場合でも理論的には推測の精度は落ちないことを示した。6.カーネル型推定量の高次モーメントに対するジャックナイフ型推定量の理論的性質を明らかにし、一致性を持つことを示した。7.カーネル型推定量のバンド幅の選択法について検討し、バンド幅に依存してはいるが,精度の高い信頼区間の構成法を導き、その有用性を示すことができた。
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