研究課題
昨年度までの挑戦的萌芽研究で作成してきた「どのような色覚でも同じように見分けやすい色のセット」について、これまで作成した塗装分野(日本塗料工業会色票が業界標準)と印刷分野(DICカラーガイドが業界標準)に加え、パソコン画面やインターネット表示に用いられるRGB色指定法による見分けやすさを追求し、被験者実験を重ねた結果、画面表示に用いられる色範囲に合わせて色合いを調整したセットを作成した。さらに、それらの組み合わせのなかでも特に混同しにくいもの、比較的混同しやすいものの確認を行った。これによって、塗装・印刷・画面という色表示の全分野をカバーする指標を構築するとともに、それぞれのケースにおいて見分けやすい色に必要な色差の検証が可能になった。さらに、網膜で色情報の検知に関与する錐体細胞の種類が一般よりも少ない色弱の人の特徴的な色認識の傾向を知るために、2つの方法で検討を開始した。まず、1050色の色票を色名に従って被験者に分類してもらい、「ある色名の範囲内に感じられる色」と「その中でもっともその色らしいと感じられる色」の分類を行った。今年度はこれを一般の色覚の人とL錐体を持たないP型(1型)色覚の人について検査し、色認識の範囲のずれを調べた。並行して、色空間における3次元方向の混同線を確定するため、グラフィックディスプレイにおいてある色と混同する色の範囲を組織的に探索した。その結果、予想に反して横方向のきわめて広い範囲の色で混同が観察され、混同線というよりも混同領域と呼ぶのに近い状況であることが示唆された。
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Proceedings : Color Imaging XV : Displaying, Processing, Hardcopy, and Applications
巻: 7528 ページ: 752805.1-752805.8