研究課題
本研究は、小脳プルキンエ細胞をモデルとして、プログラム依存的な樹状パターン形成機構に細胞間相互作用(局所活動や細胞間接触)依存的なリモデリングが加算されてニューロンの樹状突起形態が決定される原理を明らかにすることを目標とする。今年度は以下2項目の解析を行った。(1) プルキンエ細胞樹状突起分岐の時空間的ダイナミクスと制御シグナルの同定:分散培養したプルキンエ細胞樹状突起分化過程を長期間タイムラプス観察し、細胞形態を抽象化して樹状突起の伸長、分岐、退縮の速度、頻度などの時空間的遷移を定量的に解析した。これらをパラメータ化して計算機シミュレーションを行い、樹状突起ダイナミクスを再現することができた。さらに、樹状突起の接触依存性退縮がPKC阻害下で特異的に抑制される現象に注目し、PKC阻害下の樹状突起ダイナミクスと空間分布への影響を定量的に調べた。また退縮抑制の効果を計算機シミュレーションして比較解析した結果、突起退縮のパラメータに摂動を与えるとin situとin silicoで共に樹状突起空間パターンに大きな影響があることを確認した。(2) 入力線維の活動による樹状突起リモデリングのメカニズム:生後発達期のマウスにハルマリンを持続的に投与し登上線維の活動を昂進させるとプルキンエ細胞樹状突起のリモデリングが阻害されることが明らかになっているので、ハルマリン投与の時期を振り、入力する登上線維活動がプルキンエ細胞樹状突起のリモデリングを誘導する有効な時期(臨界期)を明らかにしようとしたが、個体差が大きく時期の特定ができなかった。そこで薬剤投与により登上線維活動を可逆的に抑制できる誘導型トランスジェニック動物の作成に着手し、コンストラクトを完成した。
すべて 2010 2009
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Journal of Neurochemistry (in press)
Genes to Cells 15
ページ: 137-149
Nature Medicine 15
ページ: 1202-1207