研究課題/領域番号 |
21650085
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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研究分担者 |
辰已 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90208033)
奥田 洋明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40453162)
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キーワード | コンドロイチン硫酸 / プロテオグリカン / 細胞外基質 / アフィニティー精製 / 臨界期 / 大脳皮質 |
研究概要 |
大脳皮質の臨界期を過ぎたところから出現する特徴的な細胞外基質であるDACSについて本年度はマウスのみだけではなく、他の種にもDACSが存在するか否かを検討した。方法はCS56抗体を用いた免疫組織化学的手法を用いた。ヒト剖検脳のサンプル(名古屋市立大学医学部法医学教室からの供与)、ニホンザル大脳皮質(京都大学霊長類研究所からの供与)、ブタ、アヒルの大脳皮質の切片の染色結果から、ヒト、サル、ブタにはマウスと同様のパッチ状のCS56陽性構造が観察されたのに対して、アヒル脳においてはDACS様構造は認められなかった。以上の結果は鳥類以下の種では存在しないDACS構造が齧歯類以上に進化する過程で大脳皮質に出現することを示唆している。22年度には引き続いてこの仮説を検証する目的でより下等な両生類、は虫類の脳におけるDACS構造の有無をさらに検討する予定である。 DACSを構成していると想定されるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの精製は当初の精製プロトコールでは最終的なマススペクトロメトリーに供するだけのタンパク量が確保出来ないことが実験を進める過程で判明した。よってスタートするマウス大脳皮質の量を増加させると共に精製のステップをより効率の良いものに変更することにした。具体的には尿素を用いてマウス20匹分の大脳皮質を可溶化し、これを40%、60%の2段階の硫安沈殿を行い透析処理を行った後にDEAEセファロースを用いた精製(ここまではオリジナルプロトコールとほぼ同じ)を経た後に銅キレートカラムを用いた蛋白濃縮を行い、透析処理後にCS56イムノアフィニティークロマトグラフィを行う。この後コンドロイチナーゼ処理をし、マス解析に供する予定である。現時点で銅キレートカラムによる蛋白の濃縮まで進んでおり、当初の計画通り充分な蛋白量が確保されている。コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが精製蛋白に含まれているか否かはステップごとにウエスタンブロットで確認している。
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