目的細胞に分化させる目的で、EB5細胞を購入。この細胞はゲノム中の未分化マーカー遺伝子であるOct4遺伝子の直後にIRES配列とBlastidineを挿入したES様細胞で、Blastidine含有の培養液で培養している間は未分化状態が維持できる細胞である。培地からBlastidineを抜くことではじめて分化を進めることができる。この未分化細胞を用いて、分化誘導確認実験を行った。まず、SDIA(Stromacell-dirived Inducing Activity)法で、ドーパミンニューロンへ分化実験を行った。確認は分化させた細胞を固定し、細胞免疫染色を実施。Tyrosine Hydroxylase抗体、NCAM抗体で染色を行った。分化率は50%以下と低く、他の細胞への分化も進行していることが判明した。また、SFEB(Serum-free Floating culture of Embrioid Body-like aggregates)法でも分化誘導を実施。同様にTH抗体、NCAM抗体で細胞染色を実施。SDIA法同様に高い誘導率ではなかった。これまでの結果から高い誘導率を実現するために、2種のウイルスベクターが必要となる事が判明した。1)患者由来のiPS細胞が意図せぬ分化誘導を開始しないために、Oct4遺伝子のプロモータにBlastidineを繋いだ未分化維持ウイルスベクター。2)高い分化誘導を実現するために、分化誘導補助遺伝子を未分化細胞に導入する必要があると考えられ、目的細胞のマーカー遺伝子のプロモータ直後に薬剤耐性遺伝子をつないだ分化誘導ベクター。薬剤含有培養液で培養することで他の細胞種に分化する細胞を排除する。この2種のベクターを作成する目的で、文献からOct4遺伝子(未分化細胞マーカー遺伝子)のプロモータ、NEFH遺伝子(運動ニューロンマーカー遺伝子)のプロモータのクローニングを実施した。
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