研究課題
本年度は、ヒトVPS13A cDNA のfull cloneの作成に成功し、ヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞での発現実験を試みるとともに、full cloneのみならずフラグメントcDNAから得た産物を用いたアフィニティー精製でVPS13A結合蛋白質候補を数種類同定することに成功した。これらが真の結合蛋白質かどうかの証明のために、現在VPS13Aと当該のcDNAを強制発現させたHEK293細胞で双方向性の免疫沈降を用いての解析中である。臨床的には、上位運動ニューロン変性をともなった有棘赤血球舞踏病症例の剖検例を報告し、新規の変異である3419_3420 delCA and 3970_3973 delAGTCを複合ヘテロ性に持つことを明らかにした。また、有棘赤血球舞踏病症例の遺伝子解析(VPS13Aの直接塩基配列決定およびCNV解析)とウェスタンブロット法を用いた総合的分子診断法を開発し、国際的な34名の患者を対象に解析を行った。その結果、2種類のCNVを含め23種の変異を同定した。直接塩基配列決定法の結果、premature stop codonを生ずるミスセンス変異もしくはフレームシフト変異をホモ接合性もしくは複合ヘテロ接合性に有すものは30名であり、ヘテロ接合性の変異を一カ所にのみ有すものは4名であった。この4名のCNV解析の結果、1名に欠失、1名に重複を見出した。また上記患者4名を含む15名に対して行ったウェスタンブロット法では全例について対照者にみられる全長choreinは検出されておらず、遺伝子変異により正常choreinが産生されていないことが示唆された。これらの結果は、投稿準備中であるさらに、ヒト精神障害(気分障害および統合失調症)における有棘赤血球をともなう舞踏病(有棘赤血球舞踏病およびMcLeod症候群)病因遺伝子VPS13AおよびXKの直接塩基配列決定法での変異解析とリアルタイムPCRを用いたCNV(Copy Number Variation)の解析を総合的に行った。その結果、患者群のみでみられる新規変異を数種類見出した。これらの結果については論文投稿中である。
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