研究課題
本研究では、登上線維-プルキンエ細胞シナプスの選択的強化・除去がどのように進行するのかを直接解明することを目指し、新たなリアルタイムイメージング方法を開発する。昨年度、延髄細胞の軸索やプルキンエ細胞を蛍光タンパクの発現により可視化する方法を最適化した。また、3種類の蛍光シグナルを検出できるようにレーザーなど顕微鏡の改良を行った。本年度は、(1)3種類の蛍光タンパク質(BFP,GFP,Tomato)の組み合わせ発現により、細胞や線維を多くの別々の色で、生きたまま染色する方法を確立した。さらに、(2)それらの生きた細胞、線維を長期的に観察できる実験系の確立を目指し、標本を浸す液やその液に送る気体などに関して、条件検討を行った結果、顕微鏡下で、温度とpHを制御した状態で、細胞や線維を1日以上経時的に観察できるシステムを開発した。このように、複数の生きた細胞や線維を同時にかつ区別して、1日以上リアルタイムで観察できる実験系がほぼ確立できた。残された課題は、蛍光タンパク質を任意の細胞に発現させる方法の開発である。プルキンエ細胞へは特異的なプロモーター(L7)を使用すれば可能だが、登上線維は適したプロモーターがない。新規プロモーターの探索あるいはプルキンエ細胞からシナプスを介して逆行的に遺伝子を登上線維に輸送する方法の開発を必要とする。このことが達成されれば、登上線維、プルキンエ細胞のリアルタイムイメージングを行うことができ、登上線維-プルキンエ細胞シナプスの選択的強化・除去の実体を解明することが可能となる。さらにこれらの方法は、脳内で起こる様々な現象に応用することが可能であり、多くの研究に貢献できることが期待される。
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