研究課題/領域番号 |
21650102
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
米川 博通 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (30142110)
|
研究分担者 |
設楽 浩志 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90321885)
|
キーワード | ミトコンドリア病 / 疾患モデルマウス / mtDNA / コピー数 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
ミトコンドリア病の1種に、ミトコンドリア内のゲノム(mtDNA)のコピー数の著しい減少によって起こるものがある。Mitochondrial DNA depletion syndromes(MDS)と呼ばれる疾患である。この疾患は、正常なmtDNAを持ちながらも、そのコピー数が著しく減少するため起こる病気である。ミトコンドリアミオパチーを引き起こすMELAS、MERRF、CPEO等のミトコンドリア病は、異常なmtDNAと正常なmtDNAとが1個の細胞中に存在し、異常なmtDNAの増加により正常なmtDNAのコピー数が減少することで、MDSの発症機構を参考にすると、これらのミトコンドリア病が発症は、MDS同様正常なmtDNAコピー数の減少によって生じると考えられる。 本研究の目的は、上記の発想を逆手にとって、Mitoマウスと呼ばれるミトコンドリア病のモデルマウスを用いて、このマウスのmtDNA量を増加させれば、このマウスのミトコンドリア病の症状が軽減することができると考え、この仮説を証明するために企画したものである。 このマウス中のmtDNAの総コピー数を高めるための遺伝子改変マウスを作製する目的で、ミトコンドリア転写因子を全身に強制発現したトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。その結果、このマウスはmtDNAを指標とした細胞当たりのミトコンドリアの量が著しく増加していることが分った。そこで、このTgマウスとMitoマウスとの交配を行い、Mitoマウスが呈する様々な機能不全にmtDNA量の増加が与える影響について観察した。その結果、MitoマウスでmtDNAのコピー数が増加している個体では、上記病態の著しい改善が見られた。この結果は、現在論文にまとめ、投稿中である。
|