計画初年度である平成21年度は、2つの異なる生体組織から採取した細胞群を1枚の基板上で分離して共培養する手法を確立することを目標に、基板上の特定の位置に限定して細胞培養を行う技術につき検討した。具体的な成果は以下のとおりである。 1.基板表面の細胞接着性制御によるパターン化培養手法の開発 細胞非接着性のアガロース薄膜上に細胞接着性のpoly-D-Lysine(PDL)でガイドパターンを形成し、パターン化細胞培養を試みた。低融点アガロースの水溶液をスピンコートにより基板全面に塗布する。乾燥後、試料を倒立顕微鏡ステージ上に設置し、PDL溶液を充填したマイクロピペットの先端を薄膜表面に接触させる。この状態で顕微鏡ステージをプログラム制御で移動させることにより、任意の2次元パターンを描くことができる。直径100μm程度の円形領域を多数アレイ状に配列させる、あるいは幅10μm程度の直線を組み合わせて格子状のパターンを作成した。ガイディングパターン上でラット海馬神経細胞の培養を試み、設計どおりのパターン化培養が可能であることを確認した。 2.細胞培養用マイクロチャンバの設計と製作 PDMS(poly-dimethylsiloxane)を利用して2つの細胞培養区画とそれを結ぶトンネル構造からなるマイクロチャンバを製作した。トンネル部分の高さを5μmとすることにより、2つの区画間での細胞体の移動を阻止しつつ突起の伸長は可能とする細胞培養が可能であることを確認した。
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