研究概要 |
現在、欧米・日本といった先進国では本格的な高齢化社会を迎え、高齢者の身体的な機能劣化や欠損を補うための治療方法の確立が重要な課題となっている。特に,整形外科領域の骨格系の疾患は、高齢者では寝たきり状態への移行に結びつきやすく、行動制限・ストレスからボケの発症につながり、死に至ることもある。高齢者の骨折,スポーツ外揚,交通事故による外傷,先天性の疾患などの治療を根本的に成功させるためには,移植人工骨内への迅速な血管形成が必須であり,移植人工骨内に予め適切な三次元微細構造の付与を行っておく必要があった.そこで,当該年度においては,光造形装置の組み立てと,光重合性のポリマーを用いた,造形物の3次元構造体の構築の可能性を検証した.500から3500μm/secのスキャン速度でレーザーを動かし,さらにレーザーの出力を0.2から5.0μWの範囲で振って,本装置の造形限界を定量的に解析した.その結果,幅は12.3±0.7μm,高さは14.0±0.7μmの造形精度を有する3次元造形が可能であることがわかった.従って,本手法を用いることにより,再生医療用の担体として十分な造形精度を有する構造体の設計が可能であることがわかった.本年度は,生体内分解性の有機系の材料を用いて両生医療用の担体を3次元造形したが,次年度は,再生骨に適用の可能性があるリン酸カルシウムによる担体の設計を試みる予定である.2年間のプロジェクトを通じて,再生臓器用担体の外部,内部形状の任意構造体の造形の可能性を検討する.
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