研究概要 |
経時的なマウスの骨形態変化を観察するためのin vivo CT装置を改良し,アルミ防護シールドや撮像条件を吟味することにより,昨年度よりX線被曝を下げることに成功し,目標とする低い被爆レベルでのCT撮像を可能とした. この装置を用いて慢性腎不全モデル(CKD)マウスおよび正常マウスを対象として実験を行い,脛骨の経時変化を解析した.CKDマウスは腎臓を一部摘除し(5/6モデル),高リン飼料を与えて作製した.終了後,カルシウム,リン,尿素窒素,クレアチン,iPTHの血清濃度を測定した.次いで脛骨,脊椎骨,胸部大動脈血管を摘出し,前者についてはフーリエ赤外分光法,ナノ・インデンテーション試験による皮質骨部の材料・力学的な評価を行い,後者についてはVon Kossa染色による組織学的測定,さらに原子発光分析によって血管壁中のカルシウム,リン,マグネシウム含有量を計測した.血清化学検査の結果,CKDマウスでは腎機能の障害による副甲状腺機能の亢進,高リン血症が認められ,正常マウスに比べ骨の粗鬆化が進むことが確認できた.但し,骨の材料・力学的な特性には両者に差はみられなかった.一方,血管壁へのミネラル沈着は両群とも確認されなかったが,カルシウム,リンの含有量は増加した.CKDマウスではマグネシウム含有量もC増加しており,これがミネラル形成を阻害する一因と考えられた.ビタミンK2効果については正常ラットについて予備実験を行い,骨量増加作用のあること,さらに材料・力学的にも効果を示し,骨成熟を促進することが確認できた.
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