研究概要 |
本研究では,骨粗鬆症および動脈石灰化の病態をin vivo/ ex vivoで計測し,両疾患の関連性(骨-血管相関)を解析するとともに,これら疾患に対するビタミンK2抑制効果の評価を目的とした.まず, in vivo CTを確立して経時的なマウス骨形態変化を観察し,慢性腎不全モデル(CKD)における骨粗鬆症の進行を解析した.また,同モデルより摘出した椎骨と大動脈試料について,前者にはマイクロCTによる形態評価とフーリエ赤外分光法による材料特性評価,後者にはVon Kossa染色による組織学的評価と原子発光分析によるミネラル蓄積計量を行った. CKDマウスの脛骨海綿骨は,週齢が増すにつれ顕著な骨量低下を示した.材料特性についてはCKDマウスと対照マウスの間に差はみられなかった.大動脈にはCKDマウス,対照マウスともに顕著な石灰化は確認できなかったが, CKDマウスでは骨量減少に応じたカルシウム,リン含有量の増加傾向が見られ,特に皮質骨厚さとこれらミネラル含有量の間には有意な相関(骨-血管相関)が認められた.また,ビタミンK2摂取の骨に対する効果について基礎的検討を行い,成長期の海綿骨における骨量増加作用,皮質骨における材料・力学的な成熟性増進の効果を確認した.
|