冠動脈の動脈硬化プラークの進展及び破綻に密接に関係するVasa vasorumの臨床的評価方法として、血管内超音波法(IVUS)と同様のシステムで、光と音のハイブリッドにより血管内から外膜側の細動脈を特異的に可視化する血管内光音響イメージングが有効と考えられる。本研究では、ナノ秒パルスレーザーの照射により発生する超音波を受信し、プローブを機械的走査することで反射の三次元分布を可視化する光音響顕微鏡装置を試作することで、1.直径50μmの細動脈が可視化できる解像度が得られること、2.使用するレーザー光の波長により血管や動脈硬化組織に特異的なイメージングが可能であることの2点を明らかにすることを研究目的とし、将来的に機械走査式のIVUSに本方法を応用することで血管内光音響イメージングが実現できることを実証する。 平成21年度には、光音響効果の確認のために、ナノパルス秒レーザーを光ファイバーにより発信し、対象部位からの超音波を超音波振動子で受信することで、光音響イメージングの原理の確認を行った。また、光音響イメージング装置開発の基礎として、トランスデューサをリニアモーターにより機械走査しながら、超音波の発信およびレーザー光のトリガー発信が可能で、受診した超音波を元に画像表示が可能な光音響顕微鏡のプロトタイプを作製した。
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