頸椎の単椎間を責任高位とする頸椎症性脊髄症例に対する低侵襲の手術的治療を開発することを目的として、小皮切を介して隣接する頸椎棘突起間を開大しつつ固定する方法を考案した。本年度の目標は、実際に小皮切から挿入できるインプラントを、より具体的な形にするとともに、多くの臨床データを収集することである。 1.アイデアを具体的な形にするために、設計図をもとに木下技研にチタン性インプラントの作製を依頼した。複雑な形状のために作製には大変な労力を要し、作製途中でも多くのやりとりを要した。結果的には作製が最も困難と思われるパーツ1、2についてプロトタイプを完成することができた。パーツ3、4については現在も進行中である。今後もこの作業に最も時間と金銭的労力が必要と思われる。 2.レントゲンやCT計測により適当なサイズ選択の基礎データを収集するとともに、kinematic MRIの撮影により頸椎症性脊髄症患者の頸椎を伸展/屈曲することによって脊髄の圧迫の変化をみる研究を開始した。再現性を高めるために頸椎の屈曲/伸展角度を一定にできる様なMRI使用可能なデバイスを作製(日立協力)し、現在基礎データを収集中である。 3.今回我々が提唱している治療方法の適応になる患者が、頸椎症性脊髄症全体のうちどのくらいの割合を占めるのかを明らかにするための調査計画を作成した。基本的に1年間に外来を受診し、MRIにて確定診断した患者を調査する予定。
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