本研究は軽症脳梗塞患者を対象に、運動指導・減塩指導・栄養指導を中心とするライフスタイル介入による脳梗塞再発予防効果を検証するために、まず脳梗塞再発の代替指標である血圧、LDLコレステロール、HbA1c、hs-CRPに対する改善効果を検証することを目的としたランダム化比較試験である。具体的には発症1ヶ月後から6ヶ月間のライフスタイル介入を行い、6ヶ月間での介入効果を検証する研究である。 平成21年3月より取り込みを開始し、平成22年4月現在35例(介入群17例、対照群16例、初回評価待ち2例)を取り込んだ。そのうち、現在6ヶ月の追跡が終了したのは12例、アウトカム発生が2例である。これまで身体活動量(平均歩数)や平均塩分摂取量は介入群で改善傾向を示しており、ライフスタイル介入の改善効果を示している。また軽症脳梗塞患者の病態特性を明らかにするために血流依存性血管拡張反応や起立試験による自律神経反応を測定しており、重度の麻痺を有さない軽症脳梗塞患者においても血管機能や自律神経機能の低下を有している実態が徐々に明らかとなってきている。 以上のように、平成21年度は軽症脳梗塞患者の取り込み、評価・介入を実施した。平成21年度は本研究の主な対象学会である日本脳卒中学会の開催がなかったため、平成22年4月の脳卒中学会(盛岡)より、軽症脳梗塞患者の特性に関する報告を予定している。今後は対象の取り込み、評価、介入、追跡調査を継続するとともに、順次学会報告・紙上発表を行うこととする。
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