本研究は軽症脳梗塞患者を対象に、運動指導・減塩指導を中心とするライフスタイル介入による脳梗塞再発予防効果を検証するために、まず脳梗塞再発の代替指標である血圧、LDLコレステロール、HbA1c、hs-CRPに対する改善効果を検証することを目的としたランダム化比較試験である。具体的には発症1ヶ月後から6ヶ月間のライフスタイル介入を行い、6ヶ月間での介入効果を検証する研究である。 平成21年3月より取り込みを開始し、平成23年3月現在58例(介入群28例、対照群30例)を取り込み、47例が6ヶ月間の調査期間が終了し、追跡調査に移っている。追跡症例の中で再発などのアウトカムを発生したものが介入群1例、対照群が4例、死亡1例、転居により所在不明が1例である。6ヶ月間でのライフスタイル介入成績は、身体活動量(平均歩数)や平均塩分摂取量は介入群で改善傾向を示しており、さらに介入群では収縮期血圧、HbA1cの改善を認めている。また軽症脳梗塞患者の病態特性を明らかにするために血流依存性血管拡張反応やhead-up tilt試験による自律神経機能検査を実施しており、重度の麻痺を有さない軽症脳梗塞患者においても血管機能や自律神経機能の低下や異常を有している実態が徐々に明らかとなってきている。 以上のように、平成22年度は対象者の取り込み、評価・介入、追跡調査を実施した。上記の成績は平成23年3月に開催予定の脳卒中学会やその他関連学会(循環器予防学会、高血圧学会など)での発表を予定している。今後は対象の取り込み、評価、介入、追跡調査を継続するとともに、順次学会報告・紙上発表を行うこととする。
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