通常学級に在籍する児童生徒のうち発達障害児は約6%の割合で存在するといわれており、週切な支援が求められている。特別支援教育の実現には、学校内外の人材活用と関係機関との連携協力が不可欠である。作業療法士も連携協力の一種として記されているが、日本において特別支援教育と作業療法士の連携は、はじまったばかりであり、作業療法が特別支援教育にどのような支援や貢献ができるのかは明らかではない。本研究は、特別支援教育の中でも、最も支援を必要としている通常学級での作業療法の支援効果を示すことである。具体的には小学校の通常学級に在籍する特別支援教育の対象児(主にLD、ADHD、高機能広汎性発達障害等)に学級内で担任教師やスクールボランティアが作業療法の視点から支援を行い、その支援実践について、事例研究により、個々の事例について作業療法評価、支援内容、支援効果、教員との連携についてまとめる。平成21年度は研究1年目として、公立小学校2校の研究協力を得て、7事例にWISC-III知能検査、K-ABC心理教育アセスメントバッテリー、DN-CAS認知評価システム、南カリフォルニア感覚統合検査、感覚統合臨床観察、sensory profileを実施した。事例は8歳~11歳の男児7名、診断名は高機能広汎性発達障害5名、ADHD3名、LD2名(複数の診断名がある児童3名)であった。3名は通級指導教室に通っていた。担任からの主訴(複数あり)は対人関係・コミュニケーション6名、教科学習4名、行動5名であった。評価は7事例全員にWISC-III知能検査、sensory profile、感覚統合臨床観察は実施できたが、残りの検査に関しては、実施できない検査がある児童も4事例あった。WISC-III知能検査の結果FIQで82~112であった。
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