本研究は小学校の通常の学級に在籍する特別支援教育の対象児(主にLD、ADHD、高機能広汎性発達障害)に学級内で担任教師やスクールボランティアが作業療法の視点から支援を行い、その支援実践と成果についてまとめることで、作業療法が特別支援教育にどのような貢献ができるのかを具体的な事例の取り組みを通し検証し、作業療法の効果と学校教育との連携の在り方についての具体的方向性を示す。 平成22年度は作業療法評価が終了した7事例に対し作業療法支援を実施した。7事例の診断名は高機能広汎性発達障害5名、ADHD3名、LD2名(複数の診断名がある児童3名)であり、主訴(複数あり)は行動5名、教科学習4名、対人関係・コミュニケーション6名であった。作業療法評価結果から教科学習(4名)と行動(3名)に焦点をあて支援を開始した。支援効果は行動については5月初旬と各学期終了後に子どもの行動チェックリスト(教師用)(Child Behavior Checklist-Teacher's Report Form : CBCL-TRF)を担任教諭に依頼した。教科学習は書字(3名)と読字(1名)に焦点をあて、書字は協調運動については利き手の運動正確度テスト(南カリフォルニア感覚統合検査)と学年相当の漢字小テストの成績(1学期前半と3学期後半の比較)、読字は対象児が「ひらがな」の読みも困難であったため、4音節清音20単語の読みのスピードと正答数により評価した。5月のCBCL-TRFは臨床域2名、境界域1名であった。3学期終了時には正常域2名、境界域1名となった。書字は3名全員が運動正確度テストのスコアは上昇したが、漢字小テストの得点は1名を除き、統計的に変化がなかった。読字は読みのスピード、正答数ともに有意(p<0.05)に上昇し、特殊音節の読みが次の課題となっている。
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