研究概要 |
Rose Bengalを用いて右感覚運動野皮質の損傷させるPIT(Photochemically Induced Thrombosis Causing Focal Cerebral Ischemia)モデルの左下肢麻痺の回復は、Beam-walking scoreで評価をすると、ほぼ均一に10日で麻痺は改善することがわかっている。この麻痺の回復のスピードを改善する為に、PIT作成後、神経幹細胞移植を施行したが、麻痺の回復スピードは、統計学的優位差をもって改善を認めなかった。よって、今回は、脂肪組織由来間葉系幹細胞(MSC)をモデル作成後1日後および3日後に大腿静脈より投与し、麻痺の回復スピードの変化をコントロール群と比較し、さらにPIT作成後9日目に脳を取り出し、脳切片を蛍光顕微鏡での観察をおこなった。株式会社シームスから提供されたヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(MSC)を乳酸リンゲル液(ハルトマン溶液)1mLに5x106個濃度で懸濁してモデルラットに静注した。MSCはあらかじめPKH26 Red Fluorescent Cell Linker Mini Kit(Sigma:MINI26)で細胞標識をおこなった.シクロスポリン(10mg/kg per day)をMSC投与1週間前から、投与後観察期間中継続投与した.コントロール群と同様、左下肢麻痺は、Beam-walking scoreにて評価をおこなった。また、PIT作成後9日目にヘパリン生食で脱血後,リン酸緩衝4%パラホルムアルデヒドで還流固定し,脳を摘出した.振動刃ミクロトームを用いて40μmの切片を作成し,蛍光顕微鏡で観察した。MSCをPIT作成後1日後および3日後に静注したが、コントロール群と比べ両群とも麻痺の回復スピードは、統計学的優位差を認めなかった。また、脳切片を蛍光顕微鏡で観察したところ,損傷半球,健常半球いずれにおいても標識されたMSCは観察されなかった。
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