研究概要 |
これまで2年間の、f MRIによる本研究で明らかになった事項の一部要盲は、英国誌に4/7日付発表した。(Tsunoda K,Sekimoto S,Baer T. An fMRI study of whispering:The role of human evolution in psychological dysphonia. Med Hypotheses. 2011 Apr7.)つまり、ささやき声は人類の進化による言語獲得による進化の結果である。心因性失声はこれまで言われてきた狭義の心因性失声と、気管支炎などの激しい咳の後に起る失声の2つに分類される。狭義の失声は意識下に脳梁を介して調節され、咳の後の失声は発声における前頭葉の賦活に加え更なる無意識下の前頭葉の賦活が加わり、脳全体への賦活の抑制が関与する。米国で報告されたDeep Brain Stimulationによる症例報告(Nature.2007Aug2.)からこの咳の後の失声への切り替えスイッチには視床が大きく関与していると考えられた。つまり、発声モードを切り替えるスイッチ機能は意識化の左右脳梁のラインに影響するスイッチ機能、と無意識下の前頭葉-視床ラインに影響する2つの存在の示唆された。このそれぞれ2つのスイッチ機構と失声の関連を解明すべくf MRIで無意識下に失声をきたす気管支炎患者の協力のもと、治療前・後で脳活動を比較検討観察したところ、失声時には健康時に認められない前頭葉の優位な活性を認めた(平成23年第112回日本耳鼻咽喉科学会総会)。そこで最終年度は簡易赤外線トポグラムを用いて、前頭葉機能活性を左右の優位性を含め、実際の失声患者について検証することで、外来で早期に簡易赤外線トポグラムで心因性失声の分類を行い早期に治療方針の決定、予後の予測など行う。さらにペンフィールドや角田忠信の提唱した脳の聴覚処理におけるスイッチ機構とこれら発話のスイッチ機構の関連を解明するために、Tsunoda Testの客観的評価法を目指した機器開発を行う。
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