研究課題/領域番号 |
21650151
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村上 輝夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90091347)
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研究分担者 |
坂井 深郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60346814)
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キーワード | 手指摩擦 / モバイル摩擦測定器 / 皮膚摩擦 / ユニバーサルデザイン / 超高齢化社会 / 医療・福祉 / トライボロジー |
研究概要 |
超高齢化社会においては、高齢者の多くが、各種機器・生活用具などの操作ミスなどや、転倒事故などを起こさず、健康な自立生活を維持できることが要望されており、日常用品や手すり・床面とヒトとの接触部の評価に際しては、実際の摩擦特性を把握することが重要と考えられる。研究代表者らは、これまで、能動装具や脳卒中リハビリ用ロボット装具などの開発を行い、生体関節・人工関節における摩擦・摩耗・潤滑機構の解明を進めるとともに、高摩擦を示す手指の摩擦機構の解明に取り組んできており、これらの経験を本研究に反映させる。 従来の据置き型の手指摩擦試験器で実測した手指の摩擦特性において、湿潤状態で最高摩擦が生じること、乾燥した状態では通常の乾燥摩擦と同レベルになることを確認した。本研究では、適度な湿分の時に最大摩擦を示す機構として、指紋の隆線頂点部に散在する汗孔(エックリン汗腺)からの液膜による粘着効果や吸盤効果が高摩擦に寄与することに着目しているが、一般に高齢者では、摩擦係数が半減しており、重視すべき現象である。したがって、標準的データの手指や手掌の高摩擦を期待して設計された手すりや日常用品は高齢者が使用する場合に滑りやすくなり、高齢者の事故発生につながる可能性がある。そこで、本研究では、「どこでも摩擦測定器」の開発を提案し、試作評価を行う。本年度は、主としてモバイル摩擦測定器の設計と試作に取組んだ。多様な環境下において、その場で計測を可能とするシステムとし、軽量性・コンパクト性・信頼性を重視した設計とした。測定対象により、市販の3軸あるいは6軸センサを使い分ける方式とした。21年度は自作測定器の設計と試作に日数を要したが、次年度には、本測定器を用いて各種の条件や多様な被験者の実測データを集約し、福祉機器設計に有用となる規範データの提供をめざすとともに、巧妙な皮膚の摩擦機構の解明にも取組む予定である。
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