研究概要 |
本研究では、特に視機能に問題のある発達障害の原因の解明、早期発見、学習支援を目指し、問診や視機能検査のデータのデータベース構築と分析、視覚運動計測システムの構築、および、視覚認知機構の解明を目的とする。昨年度から視覚認知発達スクリーニング検査ツール(Screening Test for Visual Perception skills:STVP)の構築を行っている。 本年度は、STVPの未検討課題であった連続図形記憶課題Lv2、平面図形記憶課題、「点の位置識別課題、線の傾き識別課題、線の長さ識別課題、平面図形識別課題を設計し、実装した。つぎに、視覚発達支援センターに視覚認知発達検査の受診を希望する視覚認知の弱さを主訴とする6歳から12歳の児童と近視などに起因する視力低下を主訴にかわばた眼科に受診した定型発達と思われる児童をコントロール群として、比較実験を行った。比較実験の結果から、視覚認知の弱さを主訴とする児童とコントロール群との間の成功率において有意差がみられた。しかし、年齢ごとの成功率において、単純図形記憶課題と形態識別課題において、ともに年齢による傾向はみられなかった。 さらに、視覚認知の弱い児童は,弱さをもたない児童と比べ、眼球運動時の重心動揺の揺れは大きいと推測される。これは、視覚認知の弱い児童が視覚認知の弱くない児童と比べ,眼球運動が苦手だからだと考えられる。そこで本研究では、眼球運動検査において、視覚認知の弱い児童の眼球運動と重心動揺の関係を計測する、重心動揺計測システムの開発を開始した。重心動揺計測にはWiiボードを用いている。
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