研究概要 |
当該年度の研究成果は1.サーフェスの緩衝特性に対する人間のVariabilityの影響,2.2次元衝撃試験によるサーフェスの緩衝特性の把握,3.ランニングの2次元着地衝撃モデルの構築の3点である.以下にそれぞれについての研究成果をまとめる. 1.筆者らがこれまで提案してきたスポーツサーフェスの鉛直方向1次元モデルとランニングの着地衝撃モデルの連成解析を行い,サーフェスに対して着地衝撃が加わった際の緩衝性について,特にランナーズ障害の原因であると考えられる着地初期の受動的衝撃における緩衝性能に着目し,ランナーモデルのパラメータが微小変化した際に緩衝性能にどのような影響を及ぼすかどうかの検討を行った.実験では3種類の硬度の異なるサーフェスを用い,硬度の違いによる緩衝性への影響についても検討を行った.ランナーモデルのパラメータ感度テストの結果,柔らかいサーフェスほど緩衝性のばらつきが大きくなることが明らかとなった. 2.筆者らが開発した2次元衝撃試験器を用いて,国際陸上連盟の適合証明を受けたサーフェスに対する2次元衝撃試験を行うとともに,静止摩擦係数および動摩擦係数の測定を行い,衝撃試験での結果と比較検討を行った.その結果,これまで検討されていなかった水平方向に対する緩衝性が確認できただけでなく,衝撃試験と独立して実施してきた摩擦係数測定は実際の運動状態における衝撃的な摩擦試験とは異なるという新しい知見が得られた. 3.ランニングにおける2次元着地衝撃を再現する粘弾性モデルの構築を行った.従来は鉛直方向1次元のみのモデルであったが,モデル全体が接地点を中心に回転するモデルとすることで鉛直および進行方向2次元の着地衝撃をある程度再現できるモデルを構築することができた.これにより,実際の運動状態に近い衝撃力を発生させ,サーフェスにおける2方向緩衝性の検討を行う事ができると考えられる.
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