研究概要 |
「実験1.足部内外足側縦アーチの変形様式」10名の健常男子を対象とした.試技は高さ10cmからの片脚着地とし,膝関節伸展位を保持した状態で着地させた.その際の足部の骨の変位挙を,fluoroscopyを用いて60Hz,シャッタースピード2/1000secで矢状面からX線透視連続撮影した.得られたX線画像から,内側・外側アーチの角度変化および踵骨に対する第一中足骨及び第五中足骨の並進運動を求めた.結果として片脚着地時のアーチの角度変位は,内側アーチ(3.5±3.3°)よりも外側アーチ(7.9±3.2°)が有意に大きく,並進運動は,内側アーチ(前方0.72±0.23,下方0.62±0.28cm)が外側アーチ(前方-0.04±0.09,下方-0.12±0.13cm)よりも有意に大きいこどが明らかになった. 「実験2.2D-3D registration methodを用いた足関節の三次元解析」健常人6名を対象として足部のCT撮影を行った.得られたCTデータより脛骨・距骨および踵骨の三次元骨モデルを構築し,座標軸を設定した.これらのモデルを実験1で得たfluoroscopy画像上でshape matching(Banks et al. 2006)を行い,それぞれの骨の相対的位置関係を求め,距腿関節および距骨下関節の三次元的な運動学的データを取得した.結果として片脚着地時の距腿関節の主な動きは,脛骨に対する距骨の背屈であり,内・外返しおよび内外旋の動きは極めて小さいものであった.一方,距骨下関節においては,距骨に対して踵骨が背屈・外返・外旋していた.実験1,2の結果より,内側縦アーチと外側縦アーチはそれぞれ異なる変形様式を有すること,また足関節については,距腿関節で脛骨に対する踵骨の背屈が主に起こり,距骨下関節において距骨に対する踵骨の三次元的な動きが起こることが確認された.
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