進化の頂点に位置する人間の生存基本原理を、「重力」というキーワードで再構築し、心を含む「人間」の健康を評価する方法を開発する。主に反射動作で動く動物としての「ヒト」でなく、きわめてファインに構成されかつ意識や心の影響を受けやすい「人間」の身体の基本戦略を明らかにする。本研究は、そのため立位時の重心が位置する体幹の制御や横隔膜呼吸の調節が可能な姿勢や運動に注目する。<ヒト実験>身体重心の不安定性制御に関する内部モデルの神経機構を検討する目的で、不安定なバランスボード上でバランス保持課題を行っている動画を提示した際の脳活動をfMRIにて計測した。被検者自身がバランス課題を遂行し、その動画を提示した際の脳活動を検討した結果、下肢・体幹を中心とした運動制御系と、危機認知及び自律神経系の制御系を含む神経機構が関与していることが示された。この結果はH21年度日本臨床神経生理学会、H22年度ICCN2010にて発表した。<細胞実験>細胞のみならず、細胞から成る身体にも、細胞(生命)原理を適用し、なおかつヒトの身体のかたちや身心の連携の特殊性に考慮して、細胞を活性化させる形態・構造を尊重したストレス応答・適応理論を用いる。心筋細胞を対象にして実験したtaxolとnocodazoleをいれたときにaB-crystallinとtubulinが共局在して局在を変化させるので、拍動毎に、細胞外からのCa2+の流入が考えられ、それにともない本研究の仮説である「細胞レベルでの動的不安定性が適応に必須な分子シャペロン・aB-crystallinの局在を変化させて動的不安定性を維持している可能性がある」。共焦点レーザー顕微鏡の修理の必要があったためCa2+のイメージングは、H23年度に行う予定。
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