研究概要 |
概要:今日の職域では、職業起因性の疾病よりも生活習慣病が健康管理上の問題となっている。 昨今の分子生物学の発展を背景に、遺伝的個人差の解析が可能となり、基礎代謝と関連した肥満遺伝子に関する知見も得られつつある。本研究では、対象者の管理がしやすく、データ把握が比較的容易である職域集団を対象として用い、肥満関連遺伝子の遺伝子型(遺伝子多型)を含めた栄養指導に関する個別支援プログラムの開発を目的とする。H21年度の研究実績は以下のとおりである。 1. 九州内の某企業(社員は1,100人)に在職し、本研究協力の承諾を得た社員より、20、21年度の健診データを入手。さらにそのうち224名の社員のゲノムDNAの収集と詳細な食事調査を実施した。 2. 有効な健康指導を実施するための予備的な断面調査 (1) 対象者の肥満に関連する遺伝子としてエビデンスが得られている"ベータ3-アドレナリン受容体遺伝子(Beta-3)"を解析した. (2) Beta-3とライフスタイル・健診データとの関連性について統計解析した. (3) 以上の研究結果に基づき、介入研究に関するアウトカムを設定した. 3. 遺伝子解析結果を用いた健康指導方法ついて検討した。具体的には、対象者をランダムに2群にわけ、産業医が面談法によって健康指導を行う。健康指導の内容は、Beta-3遺伝子診断の結果に基づき、カロリー制限を説明し、必要カロリー数を明示した栄養指導を行うことである。健康指導の効果は、健診データと健康指導効果に関連した質問票によって評価することとした。
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