家政学・生活科学へのライフマネジメントの導入に向けて3つの研究を行った。 第1は、学際的な学問である「老年学(gerontology)」が日本の大学にどの程度定着しているかの調査を行った。これは、日本の全ての大学を対象にして、「老年学」教育の状況と、研究組織について調べるものであった。この結果、ほとんどの大学では、学際的な科目としての「老年学」を開講しておらず、教育体制を構築している大学がごく僅かであった。そのため、ライフマネジャーを養成していく基本として、学際的な要素をもった研究や教育が前提に進められることを示した。 第2は、韓国のコミュニティセンターで社会福祉系の職員が実施している相談支援と家族保健支援センターで家政学・生活科学系職員の相談支援の比較を、フォーカス・グループによる質的調査から分析を行った。その結果、家政学・生活科学系の職員は相談支援についての知識や技術が弱いが、家族への教育的・指導的アプローチは秀でていることが分かった。同時に、コミュニティセンター自身は低所得者向けであり、家族保健支援センターは住民全般といった対象者イメージがあることが分かった。ここから、家政学.生活科学学生をライフマネジャーとして養成していく際には、相談支援の教育をしていくことが不可欠であることが分かった。 第3の研究は、介護職になることを目指す学生に対して、食品や栄養といった家政学・生活科学の教育を特化して行うことを試み、その結果、学生の介護に対する能力が高まるかを検討した。
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