今まで調査で明らかにしてきた韓国の家政学で養成する国家資格である健康家政士はライフマネジャーにきわめて近いといえる。そのため、「家政学・生活科学へのライフマネジメントの導入-ライフマネジャーの養成に向けて」の最終年度として、韓国の家政学での健康家政士要件のカリキュラムと日本の家政学・生活科学でのカリキュラムを比較するなかで、日本での家政学・生活科学でのライフマネジャー養成の条件を検討することとした。 韓国のカリキュラムでは、「必修科目」「基礎理論」「相談教育の実際」の3領域に分かれており、それぞれについて示唆するものがある。「必修科目」からは、家族や女性に関する知識と相談支援に関する科目に加えて、非営利団体の運営管理といったマネジメントに関する科目がある。さらには現場実習も科目として位置づいている。「基礎理論」としては、家族を中心とした科目ではあるが、女性、高齢者、障害者、ボランティアといった家族を取り巻く領域が科目設定されていた。また「相談教育の実際」では、生活設計、児童、夫婦、親、栄養、住居、消費者等の幅広い相談に関する科目があり、さらにはケアマネジメント論や社会福祉実践論といった相談の方法に関する科目が設定されている。 結果的に、日本で家政学・生活科学領域でライフマネジャーを養成するためには、家政学・生活科学のカリキュラムの再検討が必要である。ただ、日本においては高齢者や障害者領域でケアマネジャーの育成が行われているが、家政学・生活科学がアドミッション・ポリシーとして家族を中心にしたライフマネジャーの養成を目指すためには、カリキュラムの再編成が不可欠であるが、こうした人材が養成されれば、ケアマネジャーより幅が広く、さらに深く支援できることになる。
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