軽費老人ホーム(B型)において、『自炊できること』が居住の絶対条件となっており、その条件を満たせなくなると、速やかに特別養護老人ホームや医療機関などの施設へ移らなければならない。それを防ぐ上で加齢による身体的退行、持病の悪化は『自炊=自立』の障害であり、いかにこれらを予防し、ADLを維持していくかが重要となる。ADL維持には食事管理は重要だと考えるが軽費老人ホーム(B型)には栄養士配置は義務化されていない。そこで、このような施設において、栄養士がいかに支援し、ADL維持・自立に貢献できるのか、高齢者への自立支援における課題の検討(学会発表)の結果を踏まえ、有効と考えられる具体的な支援内容を決定しなければなない。今回の検討で、「食事内容について気をつけているにも関わらず、不足している栄養素が多い」「必要量に対して不足しているにも関わらず、自身の意識としては充足していると思っている人が多い」ことが判明し、骨粗鬆症進行に関与する栄養素が不足傾向にあり、骨折によるADL低下予防のために、これらに関する正しい知識が必要であることと、必要とされる食事内容と実際の食生活の間のズレを是正する必要がある。そこで、少しでも長く、自立(=自炊)生活を継続するための支援内容の具体案として、(1)当該施設で行っている2回/週の食事提供サービスを利用し、骨粗鬆症予防に関する具体的メニューの提示とともに、その食事内容、栄養素について説明していく。(2)指導側、受け手側双方が一緒に内容を確認しながら各自の栄養状態の現状を把握できるよう、各個人ごとに栄養カルテを作成し、支援を行う。 今回の結果より、当該施設全体としての優先課題を"骨粗鬆症予防"とし、さらに個別栄養カルテ作成のうえ、個人のニーズに対応した栄養・食事指導を実施していくこととする。 今後、これらの有用性および指導頻度の適正を評価・検討していく。
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