研究概要 |
軽費老人ホーム(B型)居住者の自立維持の栄養学的支援・介入計画を立てるため、優先順位とその支援内容及び課題を把握すべく、昨年に引き続き、実態調査を行った。同居住者女性17名を対象に、体組成(InBody430)、身体活動量(スズケン・加速度計付歩数計)、血液データ及び食事調査を実施。Geriatric Nutritional Risk Index(以下GNRI)との相関を調べた。また、各測定値におけるGNRIの影響を分析するため、リスクなし群5名(98≦GNRI)、軽症リスク群6名(92≦GNRI<98)、中・重症度リスク群6名(GNRI<92)の3群に分け分散分析を行った。 その結果、平均年齢82.5±8.6歳、BMI21.0±2.6kg/m^2(実質体重45.2±2.6kg)、測定前1年間の体重減少率-3.9±4.1%、基礎代謝量1040.5±109.2kcal、摂取エネルギー量1559.9±311.0kcalであった。GNRIとの相関を強く(p<0.01)示したものは、体重、BMI、Alb、ウエスト径で、他に、体組成(水分、タンパク、ミネラル、脂肪、骨格筋量、筋肉量)、基礎代謝、総消費量、レプチン、食事摂取量<脂肪、多価不飽和脂肪酸>が示された(p<0.05)。群間比較は、体重(F(2,14)=7.738,p<0.005)・BMI(F(2,14);15.189,p<0.001)・レプチン(F(2,14)=4.965,p<0.05)・食事摂取量のMgとPにGNRIの影響が有意(いづれも2群間)であった。 分析結果は、GNRIでは体重(BMI)に強く影響しているのは当然と言える。エネルギー及びたんぱく質摂取量と相関は見られなかったが、MgやPはたんぱく質を推察できるかもしれない。高齢者の血清Alb値が、栄養障害の指標か、また、加齢現象としての弱い持続的な炎症反応かを観察するために、他の指標を組み合わせたい。体重減少率とは、相関がみられなかったが、最大値-11.1%、最小値+3.4%個人差が大きい。個人が抱える疾病は多様で、包括的な栄養評価と合わせた食の支援が不可欠であることが示唆される。
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