【21年度の目的】アミロイドβ(Aβ)は、難可溶性βシート構造タンパクであり、老化に伴いAβを分解するネプリライシン(NEP)の分泌低下による蓄積がアルツハイマー症の原因とされている。21年度は、試験管内において微量のAβをスターターとし、糖、ペプチド、脂肪酸の組み合わせによるAβ修飾を測定し、Aβ生成が食成分により促進されるか否かを検討した。さらにNEP酵素阻害は、Aβ生成促進が終末的食成分(糖化産物、過酸化物)によってAβ修飾が起こるのか、またはNEPに修飾が起こるのかを検討した。【方法】(1)反応Mixture調製:糖はD-glucose、D-ribose、ペプチドはグリシル-アラニン、グリシル-バリン、グリシル・セリン、ホモシステイン、BSA、ラクトアルブミン、オボアルブミン、脂肪酸はパルミチン酸、DHA、オレイン酸、リノール酸の組み合わせとし、37℃で25日間incubateし、Mixtureを作成した。(2)反応促進測定:incubation後、glycation、aggregationを蛍光測定した。(3)NEP修飾測定:A実験/37℃でNEP+Aβなしの糖化サンプルを修飾反応のため24時間incubationした。その後、Aβを加え、さらに1時間incubationした。B実験/25日目のサンプルにAβとNEPを加え、同条件下で1時間incubationした。両実験ともAβ検出ELISAキットで測定した。【結果】incubation25日後、Aβを加え、glycation反応促進されたのはグリシル・バリン+リノール酸で、Aβなしでも高値を示した。多価不飽和脂肪酸はglycation最高値を示さなかった。aggregationは、glycationと同様にAβあり、なし共にグリシル-バリン+リノール酸が最も高かった。また、NEP酵素阻害実験は、Aβ修飾傾向が見られた。
|