研究概要 |
「夜食は太る」、「まとめ食いは太る」といったことが聞かれるが、このことは食事のタイミングが体重増加に与える可能性を述べたことになる。栄養物の消化・代謝に関わる酵素の多くも体内時計の支配下にあるので、食物・栄養の働きに体内時計が深く関わっている可能性は十分に考えられる。すなわち、本研究課題は「時間栄養学」を提案し、それを学問的に裏付け、臨床応用に持って行くことである。先にも述べたように「時間栄養学」は食物の作用が摂取する時刻によって影響される点と、食物・栄養物が体内時計に影響する点の2つの視点があるので、それぞれについて調べた。昨年の研究成果から、炭水化物とタンパク質の組み合わせが末梢組織の体内時計の同調に有効であることを見いだしたので、本年度は炭水化物の種類を変えた実験と、カゼインタンパク質の量や質を変えた実験を行った。コーンスターチとジャガイモデンプンを比較したところ、血糖値の上昇と比例してコーンスターチの方が体内時計リセット効果を強く示すことが分かった。また、ジャガイモデンプンを加熱し、α化すると、コーンスターチと同等の効果を持つことが分かった。カゼインの含有量は正常の14%から8%,6%と低下させても同調効果に差は認められなかった。またカゼインを全アミノ酸、必須アミノ酸、非必須アミノ酸に置換しても、効果に差がなかった。以上の結果は、タンパク質やアミノ酸は少量入っていれば十分な可能性が示唆された。時間栄養学的実験としては、14%カゼイン食を自由摂食の80%に制限給餌を行った時に、1日1食と比較して1日2食に分食したと群は肝臓に脂肪が蓄積しやすいことが判明した。すなわち、食事の取り方が脂肪代謝に影響することが判明した。
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