研究概要 |
本研究では、肥満治療プログラムからの脱落を予防するための方策について、基礎と臨床の両面から総合的に検討をおこなっている。 1)肥満患者が治療プログラムから脱落しやすい要因について、ネガティブ感情の蓄積という点からの検討を佐藤を中心として行っている。肥満外来の患者を中心にネガティブ感情を蓄積しやすいとされる自我状態の特徴を交流分析におけるエゴグラムという質問紙を用いて測定し、それと肥満患者の体重減少との関係を検討している。2)ラットを用いた最近の文献(Adam & et al., 2007 ; Ghitza et al., 2006)では、嗜好性の強い食物をオペラント条件付けによってラットに摂取させた後にその条件付けを消去しても、ストレスがかかると食物摂取への条件付け反応が回復することが報告されている。この点について畑研究員を中心に実験室で摂食行動のモデルとして確立し、またその事象にともなう神経伝達物質の反応性についての解析を行っている。3)実験室においてヒトの食物摂取に対して社会的促進(つられ食い)要因や、テレビ視聴などの要因がどのように影響を及ぼすかについての研究を青山研究員を中心として行っている。このような条件設定によって、ヒトの食物摂取量がどのように異なるかを検証し、食物摂取量のコントロールを行う手がかりを得ることが出来る。以上の研究は今後の展開で食物摂取に対する総合的なモデルとして統合してゆく計画である。
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