本研究は、特許情報を教材化することによりバイオテクノロジー教育の深化を図るとともに、知財教育の新たな展開を試みることを目的としたものである。本年度は、まず計画に従って、バイオテクノロジーの基礎となる生化学分野の代表的教科書の「ヴォート基礎生化学」(東京化学同人)の全28章の各章からキーワードを選択し、教材化の資料となる特許情報の検索を行う予定であったが、実施するうちキーワードが網羅的になりすぎ、教材化の時にストーリーが立て難くなるのではないか、単なる資料の収集に終わるのではないかと思われた。そこで、特に特許との関連が強い、遺伝子工学の領域に絞ることとし、キーワードの検討を今年出版された「遺伝子工学の衝撃」(講談社)石田寅夫著より、116見いだしうち手法的に重要であると考えられた23のキーワードについて、日本の特許データベースである「PLATORIS」を用い、全文ファイルを含む関連特許情報の収集を行った。また、本領域の発展との関連から、米国原特許についても検索を行い、全文を収集することとした。今後、「請求項(クレーム)」について、和訳を専門家の協力のもと行う予定である。さらに原論文データも収集を行っている。また、これらのデータを整理、さらにデータベース化するために、「特許情報検索解析システム」を構築した。現在、検索データを入力、内容に関するキーワード付け(アノテーション)を行っている。遺伝子工学分野は、特に特許との関連性が強いことから、ストーリー性を持った特許情報を活用した「遺伝子工学」の理解のための資料集を作成、今後授業、実験等での利用を行って行く予定である。
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