テスト理論研究ではeテスティングで必要な完全情報量関数や制約条件付き最適化の研究が多くなされてきているが、すべて計算時間や実効性を無視した理論研究であり、実際には未だに原始的な手法を用いざるを得なかった。しかしテスト理論のほとんどは良いテストを構成するための最適解探索問題として捉えることができ、本研究では問題によらない最適化探索問題の高速アルゴリズムを適用し、実際に開発を行うことにより、これまで理論研究に留まっていたテスト理論の優れた多くの手法を実用化にまで至らせ、国内の情報処理技術者試験やセンター試験のデータに適用し、高機能な大規模eテスティングの実用化を目指す。具体的には、テスト理論を良いテストを構成するための最適解探索問題として捉え、制約条件付き完全情報量を最大化する項目を選択しながら、それぞれの段階で受検者の反応が正答(1)のときと誤答(0)のときの二分木を作成し、θの推定値が収束するまで木を作成する。さらに分枝限定法を用いて制約に当てはまらない枝を刈り、大規模なアイテム・バンクでも木と受検者の反応に従った高速な適応型項目出題もしくはθの乱数発生による高速な自動テスト構成を実現する。 平成22年度は、提案アルゴリズムを実装したeテスティング・システムを開発し、eテスティング・システムのシミュレーション・データを用いた評価を行った。
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