研究概要 |
研究実績:平成22年度は、日本文化人類学会、アメリカ考古学会において先住民族の文化遺産と知的財産権に関する報告を行う一方、研究アソシエートとして参画するカナダの研究プロジェクト「文化遺産における知的財産権問題(IPinCH)」(研究代表者ジョージ・ニコラス、サイモン・フレーザー大学教授)のワークショップにおいて北海道におけるアイヌ民族の手による文化遺産および景観保全の取り組みについて報告をおこなった。また2011年1月には,北海道阿寒において先住民族の文化遺産と知的財産権をめぐる国際会議をアイヌ・先住民研究センターとIPinCHとの共同で組織し、今日的課題についての協議をおこなった。 意義および重要性:研究年度2年目にあたる今年度は、国内学会および国際学会において今日的課題と日本における現状についての報告を行うとともに、海外の研究グループとの将来的な研究ネットワークの構築をおこなった。このような取り組みを通じて加藤は、研究アソシエートとしてIPinCHへの参画が求められ、また世界国際会議(WAC)中間会議(2011年開催)のセッション「先住民族と博物館」の国際委員会メンバーへ招待され、本研究課題を国際的な研究組織の中で議論できる環境が構築できた。先住民族とその文化遺産をとりまく課題は、国際的に注目されており、その解決には国際的な連携が不可欠である。この意味において本研究の実施によって海外の研究組織と恒常的な研究協力体制が構築できたことは、今後の当該課題の解決にむけて大きな成果を挙げたと評価でき、日本における研究展開も国際的な場での議論も可能になると思われる。
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