研究課題/領域番号 |
21650233
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
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研究分担者 |
長柄 毅一 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60443420)
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キーワード | 三次元レーザー測量 / 鋳型面亀裂 / 土鋳型 / 石鋳型 / 神荒谷遺跡出土鍋剣 / 復元鋳造 / 鋳バリ比較 / 未研磨青銅器 |
研究概要 |
考古学分野で青銅器の鋳造技法を検討する際、鋳型の材質が石か土かという判断は重要である。石であればその種類や産地を特定することにより、例えば韓半島から日本列島へ技術が伝播した具体を知ることができる。製品と鋳型が出土した北部九州の矛や剣、鏡などはそれらを結びつけ研究は進展した。古代鋳造技術を研究するために、基本的な事項に関する基礎研究が十分でないことに気づいた。基礎研究を充実させれば、鋳型面亀裂が発生する原因、鋳バリが溝になって製品よりも窪む原因、石鋳型と土鋳型では鋳バリに差異があるのか、鋳バリを見てその鋳型の材質が分かると推測した。 青銅器の多くは砥石で研磨するために、鋳バリが削り落されて鋳造直後の鋳バリの様子を観察することができない。しかし、調査すると、神荒谷遺跡から出土した銅剣の中で未研磨であるB62号には多くの鋳バリが残る。一般的には鋳バリは鋳型面の亀裂に青銅が流れ込むため、製品面よりも飛び出した薄い板状になる。ところがB62の鋳バリは製品面よりも窪んだ溝となっている。神荒谷遺跡出土青銅器の鋳型は発見されておらず、どういう質の鋳型を用いたのか不明である。 出雲の遠所鋳造所がかつて神荒谷遺跡出土剣を復元鋳造している。土鋳型と石鋳型を用いた鋳造で、それぞれの銅剣も保管されている。両者には鋳バリが多く残っている。本研究では、こういった石鋳型と土鋳型の鋳バリの形状特徴を記録することが重要であると考え、B62の両面の鋳バリ、土鋳型と石鋳型での復元剣の鋳バリ、両者の鋳型面の亀裂を三次元レーザー測量した。現在、移動式の計測機としては最高水準の機械を待ち込んで島根県古代出雲歴史博物館でおこなった。鋳型面の亀裂は峰部が刃部に比べ幅広く、鋳バリも製品の峰部に深い溝となって発生している。このような溝状の鋳バリは青銅の凝固収縮に関連して発生している可能性が考えられる。
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