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2010 年度 実績報告書

鋳バリの研究

研究課題

研究課題/領域番号 21650233
研究機関富山大学

研究代表者

三船 温尚  富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)

研究分担者 長柄 毅一  富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60443420)
キーワード鋳バリ下層 / 凝固速度 / 鋳鬆 / X線透過撮影 / 分割鋳型法 / 蝋型鋳造法 / 凝固痕跡 / 鋳造肉厚
研究概要

国宝蟹満寺釈迦如来坐像の技術調査を行い、X線透過写真撮影を行った。本像は青銅の鋳造製品であるが、外鋳型を分割した方法なのか、蝋型鋳造のように分割しない方法なのか、これまで明らかにされていなかった。鋳型を分割する方法であれば、合わせた鋳型の隙間に青銅が流れ、鋳バリができる。この時、薄い鋳バリは厚い本体と比べ凝固速度が早く、金属組織は微細化し、本体部は粗大化する。粗大化によって鋳鬆が内部にでき、それがX線透過写真に写しだされる。この凝固組織の差がX線透過写真にどのように映し出されるのか、8枚の実験試料を鋳造しX線透過撮影を試みた。先ず、200mm×200mm×厚さ10mmの青銅板に高さ20mmで厚さ0.2mmと1.0mmの鋳バリを十字に交差するように発生させた。溶湯温度高・低、外型に水を含ませる・含ませない4種類で鋳造し、表面を平坦に研磨しX線透過撮影した。そのうち2枚は鋳バリ部分に鬆が少なくその他の部分に鬆が多い映像となり明暗で差があり、もう1枚はかすかに違いが写った。次に200mm×200mm×厚さ3mm,6mm,9mm,12mmの意図的に厚さを変えた4種類に、外型に水を含ませないで鋳造し、X線透過写真を撮影したが、1回目の撮影ほどには痕跡が写しだされなかった。更に高い放射線量でも鮮明に撮影したが、同様に1回目ほど明確な差は写しだされなかった。4種類のうち鋳造肉厚が厚い試料のほうが、凝固速度が鋳バリ部と異なり、明暗の差が1回目の実験のように明確に写ると予測したが結果は異なった。しかし、鋳バリ下層の凝固が他よりも早いため、鋳鬆の発生はそれに影響されていることが明らかになった。この2つの結果を援用すれば、鋳造後に鋳バリを平坦に研磨したとしても、X線透過撮影によって、その鋳造品が分割法か蝋型のように分割しない方法かが解明できる可能性があることが判明した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 鋳造技法2010

    • 著者名/発表者名
      三船温尚、遠藤透、釆畢真澄、戸津圭之介
    • 雑誌名

      蟹満寺 国宝銅造釈迦如来坐像保存修理工事報告書

      ページ: 22-47

  • [雑誌論文] 古代鋳造技術研究と竹東里出土竿頭鈴のスタンプ使用の検証2010

    • 著者名/発表者名
      三船温尚
    • 雑誌名

      東亜文化(海外学術交流特輯)(韓国)

      巻: 第8号 ページ: 228-250

  • [学会発表] 出雲荒神谷遺跡出土銅剣B62の鋳バリ研究2010

    • 著者名/発表者名
      三船温尚、増田浩太、清水康二、吉田広、劉治国、長柄毅一、阿部裕之、遠藤透
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史学会
    • 発表場所
      島根県立古代出雲歴史博物館
    • 年月日
      2010-08-28

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公開日: 2012-07-19  

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