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2009 年度 実績報告書

植生地理学と環境考古学の融合による暖温帯落葉広葉樹林の由来解明

研究課題

研究課題/領域番号 21650237
研究機関千葉大学

研究代表者

沖津 進  千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (70169209)

研究分担者 百原 新  千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (00250150)
キーワード植生地理学 / 環境考古学 / 落葉広葉樹林 / 二次林 / 大型植物化石
研究概要

日本の暖温帯域を中心に分布する暖温帯落葉広葉樹林は,従来,極相林(照葉樹林)に対する二次林で副次的なものとされてきたが,東アジア大陸部では代表的大陸型落葉広葉樹林であり,この林についての植生地理学的研究が重要である.また,晩氷期以降の房総半島北部の植生を環境考古学の視点から復元すると,現在の暖温帯落葉広葉樹林は,最終氷期に低地に分布していた大陸型落葉広葉樹林を縄文時代以降,人間が利用することで成立したことになる.そこで,本研究では,従来連携がなかった植生地理学と環境考古学を融合して,極相林(照葉樹林)に対しての二次林(コナラ林,シデ類林)と捉えられていた日本の暖温帯域に分布する落葉広葉樹林の生い立ちや植生地理学的位置づけを新たな視点から統一的に理解する.極相林-二次林の対立的植生観を打破し,日本のコナラ林,シデ類林が大陸型落葉広葉樹林の一角を形成する重要な存在だという,従来とは全く異なる新たな植生地理学的理解を提示することを目的とする.平成21年度は,現生植生地理の文献調査を行うとともに,西南日本を中心とした低湿地遺跡の報告書に記載されている大型植物化石資料のデータベース化を行った.さらに,大阪市立自然史博物館等での標本調査も行った.奈良県南部の晩氷期の大型植物化石データや新潟県魚沼丘陵の最終氷期最寒冷期の花粉データからは,最終氷期最寒冷期にはトウヒ属,チョウセンゴヨウやカラマツなどの針葉樹が低地で優占していたものの,その中にイヌシデ類やコナラ属の小林分が中部・近畿地方内陸部にまで広く分布していたため,晩氷期の急激な気温温暖化に伴ってそれらが急速に広がり,完新世前半には各地で落葉広葉樹林の主要構成要素になったことが明らかになった.

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第6話 山脈北部の探検史2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 55(1)

      ページ: 112-119

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第7話 アニュイ川の上流域2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 55(2)

      ページ: 118-124

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第8話 アニュイ川の中・下流域2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 55(3)

      ページ: 98-105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第9話 失われた日本の森林の姿を追う2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 55

      ページ: 99-109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第1話 沿海地方の自然2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 54(8)

      ページ: 15-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第2話 アルセーニエフの沿海地方探検とデルス・ウザーラ2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 54(9)

      ページ: 84-93

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第3話 ビソカヤ山頂付近でのフィールドワーク2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 54(10)

      ページ: 108-118

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第4話 アルム川の川下り(前編)2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 54(11)

      ページ: 78-84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シホテ-アリニの自然-ローテク・フィールドワーカーの調査記録から-第5話 アルム川の川下り(後編)2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進
    • 雑誌名

      地理 54(12)

      ページ: 78-83

    • 査読あり
  • [雑誌論文] タブノキの生殖器官に基づく前期完新世のイベント堆積物の季節推定2009

    • 著者名/発表者名
      小林真生子・百原新, ほか3名
    • 雑誌名

      第四紀研究 48

      ページ: 395-404

    • 査読あり
  • [学会発表] ウラル山脈南東部半乾燥地域『アルカイム生態保護区』周辺の植生景観と植生地理2010

    • 著者名/発表者名
      沖津進・Valentina Prikhodko・松島未和・犬伏和之
    • 学会等名
      2010年日本地理学会春季学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20100300
  • [学会発表] ウラル山脈南東部南アルカイム生態保護区周辺の植生景観2009

    • 著者名/発表者名
      沖津進・Valentina Prikhodko・松島未和・犬伏和之
    • 学会等名
      植生学会第14回大会
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      20091100
  • [学会発表] 奈良県五條市のブナとカラマツを含む晩氷期大型植物化石群2009

    • 著者名/発表者名
      百原新・沖津進, ほか2名
    • 学会等名
      第24回日本植生史学会大会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20091100
  • [図書] デジタルブック最新第四紀学2009

    • 著者名/発表者名
      日本第四紀学会編
    • 出版者
      日本第四紀学会(CD出版)

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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