研究概要 |
本研究計画では屋内空間を対象した経路探索手法ならびに経路表示手法を構築するにあたり,まず初年度に基本となるデータ構造の検討から始めた.ラバーバンドスケッチに基づくプリント基板配線をベースに基本データ構造を構築した.次年度に認知科学の観点から,駅,空港,複合商業施設などにおいて複数の被験者により,分かりやすい経路,迷いにくい経路,目的地到達の手がかりとなる目印を調査した.そして最終年度に基本データ構造ならびに調査結果に基づき,経路探索ならびに経路表示手法を構築し,計算機上に実現し,被験者による評価によって本研究の有効性を確認した. そこで平成23年度には,平成21年度に検討した基本データ構造ならびに平成22年度に調査・検討した方向判断基準に基づき,屋内空間向けの経路探索手法と経路表示手法を構築し,計算機上に実現した.さらに,構築された手法を評価するために,被験者によって,経路探索により探索された歩行経路を,経路表示に従って歩行実験し,本研究全体の評価を行った.以下の手順で研究を進めた. (経路探索の構築1)駅,空港,複合商業施設など対象とする各屋内空間において,バリアフリー,最短時間経路など,さまざまな状況を想定した経路探索アルゴリズムを構築した. (経路探索の構築2)(経路探索の構築1)で構築されたアルゴリズムを計算機上に実現した. (経路表示の構築1)(経路探索の構築1)と同様に,さまざまな状況を想定した経路表示アルゴリズムを構築した. (経路表示の構築2)(経路表示の構築1)で構築されたアルゴリズムを計算機上に実現した. (総合調査)(経路探索の表示2)および(経路探索の表示2)で実現されたものを用いて,被験者による総合評価を行った本研究の結果,歩行者にとって「分かりやすい」屋内環境地図を携帯端末上に表示,また「迷いにくい」歩行経路表示を可能とした.
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