超臨界二酸化炭素抽出法は、有機溶媒を用いた従来のソックスレー抽出法ではエアロゾルの抽出に数時間以上かかっていた時間が数十分以内とかなり短縮される環境調和型の抽出法である。また、二酸化炭素は低温(31.0℃)で超臨界状態となり、有機物を効率よく溶解することが可能であるため、ニトロ化合物のような熱に弱い成分の非破壊的な高効率抽出が可能である。現在、フィルターサンプリング法により捕集した大気エアロゾルの成分解析には、抽出液のGC/MS、LC/MSによる分析が主流である。まず、ナフタレン等の多環芳香族炭化水素をシリカゲル等の模擬エアロゾルに吸着させて、ソックスレー抽出法と超臨界二酸化炭素抽出法の比較検討をGC/MSを用いた分析により行い、超臨界二酸化炭素抽出法の優位性を確認した。模擬エアロゾルに芳香族炭化水素を付着させた新規エアロゾル付着物質の実験から、本成分解析手法の評価を行った。 超臨界二酸化炭素抽出装置と現有の高感度真空紫外光イオン化質量分析装置(SPI-TOFMS)装置とを接続し、オンラインでエアロゾル成分の抽出と高感度分析が可能な計測システムの開発を行った。ナフタレン等の多環芳香族炭化水素をシリカゲル等の模擬エアロゾルに吸着させ温度や圧力を変化させ超臨界二酸化炭素抽出を行い、GC/MSでの抽出効率の評価を行った。最適な抽出条件下でのSPI-TOFMS装置にて検出感度等の評価を行った。
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