研究概要 |
近年,スポーツ用自転車の普激が拡大しつつあり,それにともなって,休日に長距離のサイクリングに出かける人たちも増加しつつある.長距離走行で重要なポイントは,「ペーシング(pacing)」,すなわち,ペース配分である.本年度は,昨年度に続き,長距離走行を目指すサイクリストに向けた情報発信を行うことができるモデルの開発を試み,そのモデルと過去に開発したモデルとの比較検討を行った. 具体的には,対象とするサイクリングコースを,勾配(登り,下り,平坦)によっていくつかの区間に分割する.コースの属性は,各区間の距離と勾配のみに単純化して捉える.次にコースを完走する目標時間を設定する.各区間の平均速度を変数として,目標時間の制約下で,走行に必要な平均出力を最小にするペース配分(各区間の平均速度)を計算する数学モデルを構築した.また,過去に開発したモデルは,前提条件は同じで,走行時の疲労度を最小にするペース配分を計算する. 前者のモデルでは,上り坂の区間はできるだけがんばって走行し,そこで稼いだタイムを利用して平坦区間での速度を抑え気味に走行する,後者では上り坂は抑え気味に,平坦区間でがんばって走行するというというペース配分が最適となった.両モデルの考察から,前者は上級者むけ,後者は初心者向けのペース配分ということがわかった.
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