本研究課題に対し、経済学と法律学の面から考察・分析を行った。経済理論分析の成果は、効率的な資源利用と開発の意思決定のためには、持分を明示的に確定させることが望ましい。また、開発の意思決定主体が誰であるか、またどのような補償ルールが基準として設定されているかによって、開発量や漁獲量が大きく影響を受ける、というものである。法学的分析の成果は、現行法のもとでも、漁業協同組合の各組合員に共同漁業権が成立し、各組合員は、共同して一定の漁場を管理し、漁業を営む権利を有しており、総有説には限界がある。この結論は、所有権を前提として経済理論分析を行うことを可能にし、かつその分析がこの問題の解決に対して有効であることを示している、というものである。
|